試作型における抜き勾配について3 0.1mmのスリット加工における材質による難易度|精密微細加工技術ニュースVol.36

後藤精機 社員が語る今月のコラム
 
新年あけましておめでとうございます。旧年中は格別なご高配を賜り、まことに有難く厚く御礼申し上げます。
第36回目になります、技術ニュースをお届け致します。
 

試作型における抜き勾配について3

担当:H(設計)

前回、コアから成形品が抜ける為に必要な型構造として、金型には抜き勾配が重要と言う事を書きましたが、成形品のどの部分でも抜きテーパを付けて良い訳でありません。

成形品にテーパを付ける事は形状を変更すると言う意味になります。高さがある成形品の場合、形状、強度に大きな影響を与えます。基本、勾配を付ける方向は干渉を考え、成形品の肉を削る減肉とします。

場合によっては、形状、強度を確保する為に増し肉にする時もあります。抜きテーパの大きさは精度部、外観部、勘合部等に大きな影響がある上に、微細成形品、高精度成形品の場合、テーパを付けられない場合も多く、キャビ取られなどの問題が発生しやすくなります。

それでも全ての面が不可という事はありませんので、精度や形状に大きな影響が出ない様に丁寧に一つ一つ確認をして勾配を付けて対応します。
抜きテーパは連続成形を行う際にも重要な役割を担っております。詳細についてはお客さまと十分に打ち合わせを行い、品質の高い成形品を納品致します。

今年の技術ニュースも私たちの日々の取り組みをご紹介して行きますので宜しくお願い致します。

 

0.1mmのスリット加工における材質による難易度

担当:Y(プログラム)

A5052を使用して0.1mmのスリット加工を行った際、切削抵抗によって0.1mmのリブの薄いスリット部に歪み、曲りが発生しました。その為、材質をA7075に変更したところ、無事に加工が出来ました。

切削条件の変更や、切削負荷を落とす事によって加工時間が延びる事などを考えると、微細部品では材料の使用量が少ない為、価格はA5052よりも高価になりますが、材質の変更の方が加工時間が延びるよりも価格に影響が出ないと判断しました。

A5052は切削性もよくアルミニウム材の中では一番使用される事が多いのですが、A7075は航空機等にも使用されており、超々ジュラルミンと呼ばれ、硬度が高いので、薄リブのスリット加工でも切削負荷に負けず、より高精度な部品を完成する事が出来ました。弊社にご依頼いただいた際には、形状や使用用途を考え材質変更のご提案をさせていただく事もございます。その際はご検討をお願い致します。

 
また、本年も、より一層のご支援を賜りますよう、従業員一同心よりお願い申し上げます。
敬具
平成29年1月

微細加工技術ニュースVol.36 ダウンロード

 

 

カテゴリー: 微細加工技術ニュース パーマリンク