POMの射出成型時の注意点

POMは摺動性が良く、

強度も高いことから機構部品として広く使用されている材料です。

今回は、弊社でも取り扱う機会の多い、

POMの射出成形時の注意点について取り上げます。

まず、POMの射出成型を行なう際の最大の注意点は、

安全面への配慮です。

樹脂メーカーが多様なグレードのPOMを作っておりますが、

融点を超える溶融状態で滞留させてしまうと分解ガスが発生するものと考えるべきです。

最悪のケースとして、POMから発生した分解ガスの逃げ場がなく、

シリンダーの内圧が上昇し爆発する危険性がありますので、

POMの長時間滞留は厳禁です。

次に、POMの成形の条件出しを行う際の注意点ですが、

POMは成形温度や射出速度、保圧を高くすると、

金型の勘合部やパーティングにバリが発生しやすい傾向にあります。

結晶性の樹脂であることから、

射出成形後の時間経過に伴い、結晶化が進み、寸法が小さくなる性質があります。

これらの影響を出来るかぎり抑えるために、

弊社ではPOMの条件出しを行う際はバリ対策として、

成形温度、射出速度、保圧は高く設定しないようにしております。

また、寸法変化の対策として、

品物が金型内部にある状態で結晶化を進行させるようにします。

以上のようにして、成形条件を決めることで、

POMの成形品のバリを抑え、なおかつ

成形後の寸法安定性を高めることができるため、

高精度、高品質の品物をお客様にご提供しております。

 

 

 

 

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